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株式会社TKC発行の企業向け情報誌「戦略経営者」2024年2月号に当事務所のお客様である、株式会社宝計機製作所様がご紹介されました。


戦略経営者コラム 2024年2月

統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー 宝計機製作所

〝進取創造〟の精神で成長を続ける計量器メーカーの「計数管理」

“白壁の街並み”で有名な山口県柳井市に本拠を構える宝計機製作所。主にオーダーメード製品を手掛ける計量器メーカーとして成長を続けてきた。3代目の政田洋平社長は、しっかりとした計数管理のもと、さらなる飛躍を目指す。
税務顧問の森永晃仁税理士・公認会計士とともに話を聞いた。

高度な技術とノウハウで顧客のニーズに応える

──1950年創業と古い歴史をお持ちです。
政田 祖父の敏雄が農業用はかりの修理を主業務に創業したと聞いています。2年後の52年に当時の通産大臣よりはかりの製造認可を受け、検定に合格した機械式の計量器をつくりはじめ、その際に社名も宝計機製作所に変更。その後は次第に新しい分野に挑戦し、さまざまな計量器を製造・販売するようになりました。

──「検定に合格」とは?
政田 この業界は計量法に則って事業が行われているのです。わかりやすく言うと、たとえば、食材を量り売りする場合、グラム数と購入額がひもづけられますよね。その際、はかりが不正確なものだと「このグラム数は真実です」と表明できません。こうした「取引や証明」に使用する「特定計量器」は、計量法に基づく検定を受け、合格したものでなければなりません。当社では、こうした特定計量器を製造しています。これが結構大変で、山口県内では、検定に合格した計量器を製造しているところはないと思います。

──地域にとって希少な存在ということですね。
政田 希少かどうかはわかりませんが、県内にははかりのメーカーはないので、存在感という意味では少しはあるのかもしれません。

──創業から現在に至るなかで、ターニングポイントはありましたか。
政田 ロードセル式(電気抵抗線式)に対応するため、電子部門に進出し72年がひとつの転換点でした。それまでは機械式はかりのノウハウしかありませんでしたから、デジタル指示計の開発に一から取り組みました。おかげで、複雑な機械、システム機器、ソフトウエアなどの高度な設計技術やノウハウが蓄積され、現在では、一般産業用はかりはもちろんのこと、その技術を活用したLPG自動充(じゅうてん)機、選果用システム、防爆システムなどの分野にも進出しています。

──大手など競合も多いと思いますが、強みは?
政田 自社開発のオーダーメード製品を数多く手掛けているところではないでしょうか。顧客の製造現場にフィットした計量器を製造しているので、さまざまな方面から重宝してもらえているのだと思います。つくるのに手間がかかるものも多く少量多品種なので、オーダーメード製造が苦手な大手同業他社から回ってくる仕事もかなりあります。つまり、大手とは棲(す)み分けている部分もあるということですね。

──一方で効率は悪くなりますね。
政田 スポット取引が多く、多くの顧客を相手にしなければなりません。修理やメンテナンスなど小さい仕事まで含めると、現在6000件くらいの取引先があります。しかし、こうした細かい仕事を丁寧にこなしていくことで、他社との差別化ができていると言うこともできます。

──営業活動も大変なのでは?
政田 はい。そのため、営業に対する教育は意識して行っています。顧客への提案力をみがき、連絡があれば全国どこでもフットワーク軽く出向くよう指導しています。また、ミーティングを定期的に開催して、発表者のローテーションを組みながら、失敗を含めた事例を共有化し、どうすればよかったのかを議論したりもしています。

株式会社宝計機製作所 社長

政田洋平社長

株式会社宝計機製作所
業 種 各種計量器製造・販売
創 業 1950年1月
所在地 山口県柳井市柳井3889番地
売上高 約11億円
社員数 52名
U R L  https://www.takara-scale.co.jp/

本社工場外観

本社工場外観

“白壁の街” 柳井

“白壁の街” 柳井

月に一度の業績検討会が利益体質を育てる

──政田社長と森永先生とのご関係は?
森永 もともと青年会議所での顔見知りだったこともあり、5年前に税務顧問をお願いされてお引き受けしました。

──なぜ森永先生に?
政田 私は2015年に社長に就任したのですが、当時、試算表を見てもよくわからない部分が多く、経営者としてもやもやしたものを感じていました。もう少し、私でも理解できるよう明確かつ迅速に計数管理ができないかと森永先生に相談したところ、引き受けていただけたという経緯です。

──当時の経理体制はどうだったのでしょう。
森永 経理体制自体はとくに問題ありませんでした。ただ、月次決算が遅れがちでしたね。現在は、「できるだけ早く」という意識を徹底して翌月半ばには前月の数字を締めることができています。それから、月次巡回監査とは別に、月に一度、私が会社にうかがって、政田社長と役員の方々との間で業績検討会を行っています。

政田 以前から役員たちと数字を見ながら、会社の状況について話し合う場を持ちたいと思っていたので、月次検討会の開催はとてもありがたいと感じています。

森永 政田社長は計数管理の意識が非常に強く、それが素直にうれしいですね。経営者のなかには「自分が儲(もう)かればよい」と考える人も少なからずいます。しかし、会社は従業員や顧客などステークホルダーを抱えており、永続していかなければなりません。きちんと納税した上で、利益を出して成長していく当たり前の過程を踏む必要があります。政田社長は、そのことを強く意識されています。

──『FX4クラウド』を導入されたのは?
森永 22年の10月ですので、23年の9月決算でとりあえず1年間まわしたことになります。導入に際して社長はもちろんですが、総務部長がとても積極的で、「インボイスや電子帳簿保存法などの制度改正を機にぜひ導入しましょう」という姿勢がありがたかったですね。総務部長をはじめ担当の方々もてきぱきと対応されて、わからないことがあればすぐに連絡をくれるし、尋ねると即座に調べて答えてくれます。おかげで不明点を残すことなく毎月決算を締めることができています。

仁税理士・公認会計士

森永晃仁税理士・公認会計士

工場内には製作中の計量器が並ぶ

工場内には製作中の計量器が並ぶ

デジタル台秤

デジタル台秤

LPG充填システム

LPG充填システム

システムのクラウド化でコミュニケーションを促進

──システム導入の効果は?
森永 クラウド化によって、リモートでも同じ画面を見ながら担当の方と話ができるので、飛躍的にコミュニケーションがとりやすくなったと思います。それまではPDFで送ってもらってからやりとりしていましたからね。仕訳が合っているかどうかなどは、画面を共有すれば即座にわかるし、修正も簡単です。

──「証憑保存機能」も使われているとか。
森永 メールで受け取った電子取引データはもちろん、紙の証(しょうひょう)類もスキャンしてTKCのデータセンター(TISC)に保存された後、『FX4クラウド』と連携して仕訳入力しています。手間も減り、ペーパーレス化も進みました。

──今後はいかがでしょう。
政田 やはり「人」が課題だと思います。近年、新規採用はせいぜい年間2人くらいで、とても足りていません。幸い、一昨年くらいから業績が上向きで、当社が掲げてきた「進取創造」の精神が実を結びつつあるように思いますので、これを機に、労働環境、賃金、キャリアデザインなど、あらゆる意味で企業としての魅力を上げ、人材を確保していく努力をしていきたいと思っています。

証憑保存機能…電子取引データ(PDF等)や紙の証憑を読み込み、TKCのデータセンター(TISC)に電子データとして保存。保存したデータはTKCの会計ソフトに連携し、仕訳入力に活用できる。経理事務のデジタル化により、生産性向上を実現する。